"

雑草・雑写雑記(5)
〜 ちっちゃな花に副花冠 「キュウリグサ」〜

      

 この欄で雑草という言葉を使う時、しばしば、“雑草”という使い方をしている。 それは、かつて昭和天皇が「雑草という名前の草はない」という趣旨のことを侍従たちに話した、との記事が頭をよぎるからだ。 広い庭の草刈りが追い付かず、侍従が「雑草が茂っていますが、いずれきれいにします」とお詫びした際に、陛下がきつい口調で「雑草という名前の草はないのです。どの草にも名前があって、それぞれ好きな場所を選んで生を営んでいるんです」と話されたという。 それからだいぶ経って、その話が報道されたのだが、それがいつだったか私の記憶は定かではない。 しかし「雑草」という言葉に出会うたびに、この話が頭に浮かぶ。 そこで今回も、「いわゆる雑草」ということで使いたいのだが、ひんぱんに「いわゆる」をつけるのは煩雑なので、“雑草”としている。 単なる自己満足かもしれませんけどね。 (水野重満)
     
 ●春の観察会で人気ものヤマルリソウは、みんなが顔を近づけて愛でてくれるが、同じ仲間なのにキュウリグサは、まず無視されるか引き抜かれるかといったところ。仲間のワスレナグサなぞ、わざわざ買ってきて庭に植えられたりしているというのに。  ●ムラサキ科の特徴として、茎を伸ばしている段階では、先端がぜんまい状にくるりと巻いている。図鑑では、よく「サソリの尾のよう」と書いているが、たいていの人が実物を見ることはないだろうから、この表現はいかがなものか。


 
 ●花は合弁で5裂。花径は2o程度と小さいが、ルーペで見ると中心部が黄色味を帯び盛り上がっている。これが副花冠。花冠の色と変化をつけ虫を呼び込み、土手のような盛り上がりで雄しべ雌しべを風雨から守っているようだ。  ●同じ仲間のワスレナグサ。花径はキュウリグサの2〜3倍の8o前後あるので、肉眼で見ても副花冠が観察できる。


 
 ●副花冠がある花の代表と言えば、ラッパズイセンだろう。横向きに花をつけ、雄しべ雌しべを囲むように大きく突き出した副花冠は、雨から雄しべ雌しべを見事に守ってくれそうだ。 「キュウリグサ」 (ムラサキ科)
(撮影場所:世田谷・桜上水)




戻る