ブータン紀行 (宮入芳雄)
   
      昨年の「ボルネオ」に続き、石井誠治さんと深串泰光さんが企画した「ブータン王国」ツアー。 
   この機会を逃すと二度とブータンに行くことは無いと思い、参加しました。面白い体験ばかり。
      そんな現在のブータンを、少し長くなりますが報告します。

 
                                                                    山の斜面に建つ寺院


「ティンプー」
 ブータンの首都。標高2320m、人口約10万人。 7年前の民主化により、街の様子は急速に変わりつつある。 誰かが、「明治維新とIT革命を同時に体験しているみたいだ」と言っていたが、なるほど、そうかも知れない。 国民は世界の状況を知ってしまった。「世界一幸せな国」は崩れつつあるのだろう。
 

   
 夜明け。 山々に囲まれているティンプーは、山肌から朝を迎える。    ブータンの政治と仏教の中心となる「タシチョ・ゾン」。 「ゾン」は元々城塞として造られたが、現在は寺院と行政庁として使われている。 ここは、国王が執務する王宮、ブータン仏教界の総本山の寺院、官庁等で構成されている。 斜め右上の建物は、国会議事堂。

 
   
 ブータンの食事。本来のブータン料理はトウガラシをふんだんに使う辛い料理なのだが、外国観光客に合わせて辛味がほとんど無い。 これが最後まで不満だった。    ティンプーのメインストリート。NHKの「世界ふれあい街歩き」でも紹介されていた。 若者たちでにぎわっていたが、一歩通りを離れると、ほとんど人は歩いていなかった。







 
 若者たちは、当たり前のようにスマートフォンを使いこなしている。        ティンプーは建設ラッシュ。 マンションやホテルが次々に
   建てられている。 でも足場は竹を組んで作られている。
   我々から見ると少し怖い。

 「ドチュ・ラ峠」
 「ラ」は峠の意味。 「峠峠」になってしまうが、分かりやすいように「峠」をつけた。 標高3100m。 ここから「常緑照葉樹林」の旧道を2時間ほど歩く。 講師の石井さんによると、日本の常緑照葉樹林を代表するのは「ヤブツバキ」だが、ここでは「シャクナゲ」だという。 上から落ちてくるヒルに注意しながら植物を楽しんだ。 出てくる植物は日本の物とすごく似ているが、微妙に違う。それが面白い。

 
 常緑照葉樹林の高木層を形成する「ツガ」。 シダやランなどの着生植物で覆われていた。    シャクナゲの純林を行く。








   
 これでもシャクナゲの仲間【Rhododendron Keysii】    黄色いクリンソウ【Primula Smithiana】
 

 






 
トキソウに近いラン【RoscoeaAlpina】    ヒル騒動発生!注意していたが、3人がヒルにやられた。 バスの中で分かったので、全員バスを降り、服装と荷物をチェックした。

 
「プナカ」
 ブータンの旧都。標高1300m。長らくブータンの首都だと思われていたが、昭和33年(1958)日本人で初めてブータンを訪れた中尾佐助がプナカに到着した時は、人の姿は無く、廃墟になっていた。中尾佐助は「死の谷」とまで言っている。首都が移転していたことは誰も知らなかった。その廃墟「プナカ・ゾン」を20年前に改修して、国王の冬の離宮としているという。人々も集まり、ニュータウン地区も出来ている。

 
 
   
  プナカの中心「プナカ・ゾン」。 改修され、「ブータンで一番美しいゾン」といわれている。     「プナカ・ゾン」の内部。装飾が美しい。
 
   







  窓枠がブータン独特のデザイン。 一般の民家もこれほど
派手ではないが、この窓枠の形が多い。
    ガイドのガルゲさん。 「世界ふれあい街歩き」にも出演したという。
 
 
 
 廊下に描かれていた仏画。 これは十二支の絵。    巨大な「マニ車」を老人が回していた。
 
「チュレ・ラ峠」
 標高3800m。ブータンの国道で一番標高が高い場所だ。車で一気に富士山山頂に来たようなもので、さすがに歩くと息が切れる。雨も降って来て肌寒い。この日は高山植物の観察。果たして目的の「青いケシ」に出会えるだろうか。 
 







   

 峠にはダルシンといわれる、お経が書かれた旗が多数たなびいていた。 何が書かれているのか、ガイドのガルゲさんに聞いたら、「風のお経」だそうだ。         峠より少し低い場所で見られたユリ科と思われる植物。
    学名は分からなかった。
 
   
 黄色いケシ【MeconopsisPaniculata】    ついに出会えた「青いケシ」【MeconopsisSimplicifolia】低木の根元に一輪だけ咲いていた。 この花は花期が短く、数日で散ってしまうそうだ。 脇には実と蕾が。 ガイドにピンポイントで案内されなければ、簡単には見つからない。 ラッキーだった。
 
   
 雲の切れ間からはるか下に「ハ」の谷間が見えていた。 「ハ」はインド軍の施設もあり、最近まで外国人に開放されなかった町だが、普通の田舎町。 ただ、インド軍用なのかゴルフ場があったのが印象的だった。      チュレ・ラ峠から「ハ」に向う斜面は原生林。 ウバメガシと
  思われる常緑照葉樹にサルオガセが長く垂れ下がっていた。
  不思議な光景だった。

 
「パロ」
 パロはブータンの玄関。「パロ国際空港」がある。ブータンの中で一番広い谷間。それでも飛行機は、深い谷を右に左に旋回しながら高度を下げ着陸する。ブータン第3の都市だが、穏やかな空気が流れる雰囲気の町だった。 

 
   







    ティンプーからパロに掛けての山の斜面は裸地でマツが
  点在する。 17世紀からの街作りで、常緑照葉樹林の木が
  伐採された。 ブータンの家は木と土で作られ、民家でも三
  階建。 急斜面に建てられた民家も、当時周辺にあった木を
  利用したから作られたという。ちょっとしたカルチャーショック
  だった。
   パロの郊外に広がる棚田。ブータンの農業改革に尽くし、その地で亡くなったブータンでは「偉人」といわれる西岡京治氏の農業試験場と実施した集落がある。「西岡村」と呼ばれている。








   
 「パロ・ゾン」。 寺院と県庁が置かれている。 パロ・ゾンを守るために造られた尾根の上の城塞は「国立博物館」として公開されていたが、現在その上に新たな博物館が作られ、内容が充実している。         「パロ・ゾン」の中で石井さんが見つけたカミキリムシ。
    やはり日本のものとは、ちょっと違う。
 







   
 「パロ・ゾン」からパロの街並みを望む。 手前の建物は、国王の離宮。         ブータンでは野良犬が多い。 予防接種も国が負担して
    いる という。  生活に苦労が無いのか、体力温存なのか
    いつも日中は昼寝している光景に出会う。
 
   
  パロのメインストリート。 あまり人も歩いていないが、ブータンの表玄関。土産物店は多かった。     ブータン最古の寺院の一つ「キチュ・ラカン」。 入口にいた姉妹が可愛かった。

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