高尾山国有林巡視日誌(57)
 林野庁・東京神奈川森林管理署の森林保護員として、高尾山国有林とその周辺の森林パトロールを行っている宮入さんの巡視日誌「その57」です。

平成2373日(日) 天気:曇のち晴

 ついに高尾山で「アカボシゴマダラ」に出会ってしまった。元々は奄美大島など暖かい地方のチョウなのだが、心無い昆虫マニアによる放蝶(「ゲリラ放虫」と言うらしい)により、神奈川県を中心に繁殖し続けている。特に関東で繁殖しているチョウは姿を変え、一見ウスバシロチョウに見えてしまう。ブラックバスもそうだが、一部のマニアによる行為が生態系に重要な影響を与えてしまう。困ったものだ。

●平成2373日(日) 天気:曇のち晴

 繁殖力が強いので、高尾山域には侵入して欲しくない帰化植物が何種類かある。タケニグサ、セイタカアワダチソウ、オオブタクサ・・・。いずれも作業車両によって種が運ばれることが多いので、林道から繁殖していく。それらは出来るだけ根から抜き取り、駆除するようにしている。この日は大平園地でオオブタクサの抜き取り。ただ、崖の途中など立ち入れない場所に生えているものもある。それらをどうするか、今後の課題だ。

●平成2375日(火) 天気:晴時々曇

 この季節は様々な昆虫に出会えるのが楽しみだ。今日出会ったのは「オオトラフコガネ」のオス。なんというハデな模様だろうか。それに比べメスは全身真っ黒で地味である。まぁ、人間界と違い野鳥や昆虫の世界ではオスがハデなのは当たり前なのだが・・・う〜ん。最近は人間界も分からないか。

●平成23717(日) 天気:快晴

 オオムラサキが飛んで来て、手に止まった。私の汗を吸いに来たようだ。少々突いたくらいでは逃げもしない。まさに「手乗りオオムラサキ」。オオムラサキの翅が美しいのは表側で、裏側は地味だ。しかし汗を吸うのに夢中で翅は閉じたままだ。

 しばらくそのままにしていたが、手が疲れてきたのでそろそろお帰り願おうかと思った時、お礼でもないのだろうが一度だけ翅を広げてくれた。

●平成23719日(火) 天気:雨

 雨の南高尾山稜。台風の影響で断続的に強い雨に襲われる。そんな中、出会ったヤマユリ。そういえば今年はヤマユリが少ない。今年は自粛の年か。面白いもので、植物によってその年に目立つ花がある。今年はキンランとエビネが目立った。

 雨の中、ヤマユリはビショビショ。我々も湿度94%で、汗が気化せず服がビショビショ。お互い頑張ろうね。(と、感情移入しているのは私だけか・・・)

●平成23730日(土) 天気:霧のち曇

 高尾林道に、一ヶ所だけ民有地の雑木林がある。スギ・ヒノキの国有林の中で、季節を感じさせるホッとする所だ。その林のクヌギ2本の樹肌が削り取られていた。樹液を出させて、カブトムシなどの甲虫を誘き寄せようとしているのだろう。悪質なマニアか業者か、犯人が誰かは分からないが、無神経な行為に怒りを感じる。

 早速やって来たカナブンに「来るんじゃないよ!」と突っ込みを入れたくなった。


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