高尾山国有林巡視日誌(49)
 林野庁・東京神奈川森林管理署の森林保護員として、高尾山国有林とその周辺の森林パトロールを行っている宮入さんの巡視日誌「その49」です。

●平成22112日(火) 天気:晴のち曇

 台風14号が通過して3日も経つのに、日影沢の水量はまだ多い。いつもとは違い、美しく迫力のある渓流の景観。一年中これだけの水量があれば「奥入瀬渓谷」にも引けは取らないのだが・・・

●平成22117日(日) 天気:曇のち晴

 現在、林野庁では「ブナの結実調査」をしている。高尾山にも数は限られているがブナが生息しているので、我々も今週から調査に入った。高尾山で確認されているブナは約7080本。本来生息出来ない環境なのだが、江戸時代の小氷河時期に入り込んだといわれている。
 人が入り込まない森の中を、双眼鏡で探し出し、現場に行って、地図に落とし、調査番号を木に巻き付けて、調査票に記入する。この日だけで32本のブナを確認した。高尾山のブナの実は生っても中身の無い「しいな」だが、今年はそれさえもまったく見られない。全国的にそうなら日本海側のミズナラの壊滅もあり、森の熊がもっと里に下りてくる。それが心配だ。

●平成221111日(木) 天気:晴

 ブナの調査中に、またしても変わった幼虫を見つけた。「イモムシ ハンドブック」によると「クロシタアオイラガ」の終齢幼虫。イラガの仲間の幼虫は、それぞれ独特な風貌と彩色で面白いのだが、その多くは毒刺毛を持つ。刺されると、かなり痛いらしい。素手で触るのは止めたほうがいい。(言われなくても、誰もそんな事はしないか。)

●平成221112日(金) 天気:晴

 今日もブナの調査。ある場所で、見たことも無い植物に出くわした。調べてみるとカラタチバナの黄色い実をつけるタイプで、「キミタチバナ」という名前が付いている。

 ただそれだけの物なのだが、ネット情報では「江戸時代には栽培が流行し、価格が高騰したので、寛政10年には幕府が売買禁止令を出した」との事。210年前は、お宝の植物だったのだ。【写真:キミタチバナ】
※ブナの調査は、取りあえずこの日で終了。75本のブナを確認した。まだあるかも知れない。あるとすれば、4号路の北斜面。いずれ谷に下りてチェックしてみたい。

●平成221116日(火) 天気:晴時々曇

 晩秋の南高尾山稜。昼食と昼寝(業務上1時間の休憩を取らねばならないので、寝るしかない。これが気持ち良いのだが・・・)に、いつも使っている休憩所。テーブルの上には落ち葉が降り積もり、そこに木洩れ日が射していた。こういう光景を見ると「秋深し」と思う。

●平成221121日(日) 天気:晴

 今年の高尾山の紅葉は美しくない。紅葉するシラキが黄葉している。日照と光合成の関係でアントシアンが出来なかった等の分かったような報道を聞くが、ふ〜ん、とういう感じだ。そんな中で紅葉、黄葉が美しいのが、男坂と女坂に挟まれた、仏舎利塔広場の一画。八十八大師の石像と紅葉が絵になる。・・・ん?今年の京王電鉄の秋のポスターは、ここだったかも。

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