高尾山国有林巡視日誌(47)
 林野庁・東京神奈川森林管理署の森林保護員として、高尾山国有林とその周辺の森林パトロールを行っている宮入さんの巡視日誌「その47」です。

●平成2299日(木) 天気:曇のち晴

 「パウロの森」の整備作業中、陸生の貝を見つけた。陸生の貝の代表はカタツムリだが、これは「キセルガイ」の仲間だ。(この仲間は日本でも100種類以上いるそうなので、正式名称を探すのは止めた。) ただ白い管が延びているのが気になった。動物のことはFITの武部さん。早速来た回答は、「キセルガイの仲間(左巻き)の交尾です。カタツムリやナメクジは互いに向き合ってタイチーマーク(二つ巴、陰陽太極図)の様となりますが、キセルガイの仲間は同じ向きを向いて交接することが多いです。キセルガイも雌雄同体のため、交接の際にはお互いに精子の交換を行って共に産卵(卵胎生)します。」との事。なるほど。

●平成22912日(日) 天気:晴のち曇

 夏は昆虫との出会いが楽しみだ。この日出会ったのは「ホタルガ」。赤い頭に黒い羽。ホタルの擬態という説もあるが、ホタルより大きいし体型も似ていない。ヒラヒラと飛び、動きは鈍そうなのに、なかなか写真を撮らせてくれない。しかたなく私の奥の手「催眠術撮影法」で、やっと近づいて撮影する事が出来た。

平成22918日(土) 天気:晴時々曇

 この日、やっと高尾山国有林巡視の現場復帰が許された。約2ヶ月半・・・長かった。今日は一人なのでケーブルで上り、メインルート1号路を行く。最初に目に飛び込んできたのが、高尾山NO.1のブナ(太郎ブナ、元禄ブナと呼ばれている)の枯れた姿だった。確かに最近衰えてはいたが、半数の枝は元気だった。今年の猛暑と水不足で枯れてしまったのか。来年、芽吹いてくれることを祈る。

●平成229月18日(土) 天気:晴時々曇

 ノハラアザミにやって来たメスグロヒョウモン。ヒョウモンチョウの仲間は図鑑で見ても同定が難しい。この時期なのでメスグロヒョウモンと断定してしまった。間違っていない・・・よね?

●平成22923日(木曜日・祝日) 天気:雨

 大平林道のケヤキは2年続けてガの幼虫(梅田さんの同定ではヒメクロイラガの幼虫)に葉を食い尽くされている。それが、この時期になって芽吹きだした。猛暑と極端に気温が下がった季節の変化に騙されたのか、それとも最低限必要とされる光合成のための手段なのかは分からないが、ここだけは春の景色だった。

●平成22930日(木) 天気:雨

「東京都レッドリスト」の2010年版が発行された。私の持っている「1998年版」と比べると、この10年でどれほどの植物が絶滅の危機に瀕しているかが分かる。高尾山が属する「南多摩」での絶滅危惧種は、ほとんど高尾山域でしか見られないものだと思う。このフジレイジンソウも「絶滅危惧種TA類」(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性の高いもの)に区分されている。この花が咲く場所も最近踏み跡が目立つようになった。これから先、盗掘が心配だ。

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