高尾山国有林巡視日誌(44)
 林野庁・東京神奈川森林管理署の森林保護員として、高尾山国有林とその周辺の森林パトロールを行っている宮入さんの巡視日誌「その44」です。

●平成22531日(月) 天気:晴

 目の前で花が見られるはずだったジャケツイバラが無くなっていた。この冬の間伐の時に切られてしまったようだ。観察会の参加者はガッカリ。しかたなく林道終点まで歩いていくと目の前に一房だけ咲いていた。3月の降雪で林道を塞いだ枝だが、太めのジャケツイバラなので車輌が通行できる程度に処理した。その枝で咲いていた。参加者は大喜び。あの時のお礼に一房咲いてくれたのだろうか。でもいずれは誰かに切られてしまうだろう。ごめんね。

●平成2268日(火) 天気:曇一時雨

 地面を歩いていた見慣れない甲虫。甲虫は図鑑があるから同定が難しくない。最初、ハネカクシの仲間かと思ったが、ツチハンミョウ科のヒメツチハンミョウの雌だと分かった。成虫の体にはカンタリジンという毒の成分が含まれていて、触ると腫れあがったり、水泡が出来たりするという。・・・触らなくて、良かった。

●平成22613日(日) 天気:曇時々晴

 葉の下にかたまって咲く緑色の小さな花。見た目にパッとしない花だが、実際にこの花を目の前で見た人は少ないと思う。ツルウメモドキ。冬になると美しい赤い実を落とすので名前は良く知られている。ただ、高所で花を咲かせ、実を付けるので、なかなか目の前で見ることは出来ない。それが2月の雪で倒れた木と共に地表近くに。倒木は処理されたが、ツルウメモドキは切られなかった。次は秋に実を見るのが楽しみだ。

●平成22613日(日) 天気:曇時々晴

 林道の真ん中にミノムシが宙に浮いていた。広い道だから、どこから垂れ下がっているのかと上を見上げてしまった。そういえば、最近ミノムシ(蓑虫)を見ることが少なくなった。調べてみたら、1990年代に中国から侵入したオオミノガヤドリバエがオオミノガの幼虫に寄生し、数が少なくなっている、との事。小型のチヤミノガもいるが、今日出会ったのは蓑の大きさ、作り方、そしてちょっと覗かせた頭の模様などからみて、オオミノガの幼虫らしい。頑張って生きて欲しい。

●平成22620日(日) 天気:曇

 6月は蘭の季節。多くのランがこの時期に見られる。ムヨウランも今が最盛期。加藤さんが「先週から咲きだした。」というので、現場へ行ったが見つからない。加藤さんが指差す所を見ると・・・あった。目が慣れるとあちらこちらに生えている。花もラン特有の美しさなのだが、周りの景色に溶け込んでいて分からない。なるほど、これでは見つからない。

●平成22620日(日) 天気:曇

 一瞬、目の端に美しいブルーの色が映った。葉の上に5oほどの小さな昆虫がいた。昨年見つけたトリバネガの仲間と思い、取りあえず撮影し、帰宅後写真を拡大したらどうも顔つきが違う。ウンカのようだ。そこでインターネットで探し回ったらヒットした。ヨコバイ科の「ヨモギシロテンヨコバイ」。写真では、ここまで拡大するのが精一杯。それにしても、どのような理由でこのように進化していくのだろう。昆虫の世界は不思議がいっぱいだ。


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