高尾山国有林巡視日誌(42)
 林野庁・東京神奈川森林管理署の森林保護員として、高尾山国有林とその周辺の森林パトロールを行っている宮入さんの巡視日誌「その42」です

●平成22417日(土) 天気:雨のち曇時々晴

 今シーズン、これが最後の雪だろう。41年ぶりの遅い降雪だとの事だが、湿って重い歩きにくい雪だった。ただ季節外れの雪で、芽吹きの新緑と雪という変わった風景を見る事が出来た。

●平成22418日(日) 天気:晴のち曇

 次の日は、好天の日曜日。多くのハイカーが来山したが、道は雪解けでグチャグチャ。歩きにくいので、「植生保護区」を歩き出すハイカーが現れる。一人が歩き出すと、「みんなで歩けば怖くない」で、後に続くハイカーがぞろぞろ。あっという間に踏み分け道が出来る。一度道が出来ると回復に数年かかる。大声を上げて静止しても、屁理屈をこねて聞く耳を持たない。仕方なく、立ち入りそうな場所に「立入禁止テープ」を張り巡らした。一丁平に到着したら、この人数。高尾山の自然を維持する許容量を越えている状況だ。

●平成22425日(日) 天気:晴

 3年半、高尾山域を歩いていても、一度も歩いた事のない空白区域という場所がある。「209林班」。八王子城跡から通じている「城山林道」の左の区域だ。八王子城の落城に絡む区域で、あまり歩きたくない場所なのだが、天気も良いので歩いてみた。歴史学者が調査で入っているためか、巡視路もしっかり残っていて、「堀切」などの歴史遺産も見られる。そんな道で見つけた古い境界標。戦前の天皇家の御料林だった頃の石漂だ。これも一種の歴史遺産だろう。

●平成22427日(火) 天気:曇のち雨

 スミレの宝庫、高尾山で人気なのはエイザンスミレにタカオスミレ。通が好むのはヒナスミレ。このアケボノスミレも美しいのだが、あまり話題に上がらないのは、目にする機会が少ないためだろう。花は大きめで色は濃い目のピンク。葉より先に花が咲き、葉は展開前で丸まっているか、見当たらない時もある。数が少ないのは、盗掘によるものか、繁殖力が弱いのか・・・。今日見た場所も、3年前に確認したが2年間見られなかった場所だが、今年復活した。どちらが原因か、結論はもう少し先に延ばそう。

●平成22429日(木・祝) 天気:晴一時雨

 高尾山域で見られるマムシ草(テンナンショウ属)のほとんどはミミガタテンナンショウだ。ところが時々ホソバテンナンショウや、このヒトツバテンナンショウに出会う事がある。ある林道では、ヒトツバテンナンショウが点在して見られる。最初は林道終点付近に数株見られたのが、少しずつ移動し、今年は林道のかなり手前でも確認できた。理由は・・・分からない。

●平成22429日(木・祝) 天気:晴一時雨

 国有林巡視のパートナー、加藤さんが高尾山域での発見にこだわる植物の一つにレンプクソウがある。たまたま今日、生育場所の情報があったので、行ってみた。かなり詳しく場所を聞いたのだが、見つからない。しばらくして加藤さんが、「見つけた!」。全長10cm弱。5個の花の固まりは1cmも無い。それも花の色は緑色。目を凝らしてやっと確認出来る程の小ささだ。図鑑の写真のイメージで探索すると、決して見つける事が出来ない花である。


戻る