伊豆大島便り その1
オオシマハイネズ

東京から一番近い火山島、伊豆大島では、春になって様々な花が咲き始めました。でも実は一見花に見えない植物もあります。今日はそんな植物に注目してみたいと思います。

今日の主役は大島の海岸に点在しているオオシマハイネズです。

遠目に見ただけでは、ただの緑にしか見えないこの植物に近づいて見ると…
マツボックリのような茶色い粒が一杯ついています。

実はこれがオスの花で、小さな一つ一つのツブツブの中に花粉を一杯ため込んでいます。

もうパンパンに膨らんでいるので、枝に触れると花粉があちこちに飛び散ります。

メスの花は直径1〜2mm。米粒より小さいぐらいのサイズです。

高倍率の虫眼鏡でのぞいて見ると…小さなパイナップルみたいです。

全体に春らしい柔らかな色で、とてもかわいいですね。

淡いオレンジ色から3本の白いものがのびていますが、どうやらこれがめしべ″のようです。

近くにあった実を割ってみたら中から種が3個出てきますから、3本の白いものはめしべ“で間違いなさそうです。

メスの花と、緑色のまん丸の実の大きさが、あまりに違うのが面白くて比べてみました。

左から順にオスの花、実、メスの花です。米粒より小さいようなメス花が、こんなに大きい実になるのですから、すごいですよね。

オオシマハイネズは房総〜東海、伊豆諸島に分布するヒノキ科の植物です。あまり分布域の広い植物ではなさそうですが、大島ではあちらこちらの海岸で、地をはって広がる彼らの姿を観察できます。

普段は他の植物と混ざり合って生えているのですが、たまには競争に打ち勝って天下を取ることもあります。たとえばこのように…。真っ赤な溶岩の丘の上から、まるで髪の毛のように垂れ下がるオオシマハイネズ達です。他の植物が入り込めない、崩れやすい溶岩の壁に垂れ下がって、光を独り占めしています。頑張っていますね。

伊豆大島在住の森林インストラクター西谷香奈さんがこれから「伊豆大島便り」を定期的に送ってくれることになりました。火山島ならではの珍しい植物や動物など楽しい情報を提供していただけそうです。第1回は「オオシマハイネズ」。この木はヒノキの仲間ですが海岸に地面を這うように生えています。地味な木の雄花、雌花をご覧下さい。


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