「マドンナのバオバブ」ものがたり

〜アフリカのエリトリア国・ケレンより便り 深串 泰光〜

ケレン(首都アスマラから北西91km)の市場近くにある豊かな泉に昔から人々に祀られている一本のバオバブの大きな木(アフリカ原産のディギタータ種です)がありました。
 19世紀後半、尼僧の慈善団体によって、その樹洞に小さな黒いマリア像を安置して小さなチャペルになりました。そこは街の孤児の遊び場でもありました。 その後、マドンナのバオバブ(=聖マリア様のバオバブ)として名が広まっていきました。
 第二次世界大戦中の1941年、数名のイタリア軍兵士が英国空軍の空爆から、その樹洞に隠れました。爆弾は、木に命中したのですが、なんとマリア様の像とともにイタリア軍兵士たちも奇跡的に無事でした。
 今日、ティグリニャ族の言い伝えによると、夫や子どもの欲しい女性は、この木陰で、近くを通り過ぎる旅人にコーヒーを一杯、ご馳走するとその願いはかなうといわれています。私が行った時(625日)は10名ほどのご婦人方に唄と踊りで歓待され、コーヒーを振る舞われ彼女らの願いは達成されるでしょう。私も愛妻が得られるでしょうか…?


●マドンナのバオバブの全景。
●原産地では、酸味のある果肉が清涼飲料水に用いられるほか、若葉は食用、種子は食用・薬用、樹皮は繊維料として利用。
●果実は長径10〜40cmの楕円形で、細毛の密生した堅い外果皮で覆われ、内部にはパルプ状の果肉で包まれた径1cmほどの種子が多数。
●花柄は長く、下垂し、径15pの白色の五弁花。雄蕊は多数あり、基部が筒状に癒合し、パフ状。
●樹洞のマリア像、中には大人10人ほど入れる。
●途中で出会ったマントヒヒ。

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