高尾山国有林巡視日誌(31)
 林野庁・東京神奈川森林管理署の森林保護員として、高尾山国有林とその周辺の森林パトロールを行っている宮入さんの巡視日誌「その31」です。

●平成2152日(土) 天気:快晴

小下沢はチョウの種類が多いことでマニアには知られている。今日見たのはサカハチチョウ。チョウは羽の模様は表と裏が、まったく違う。しかし図鑑では表の模様しか載せていないものが多い。このチョウも名前が分からなかったが、タテハチョウの仲間だと思い、インターネットで検索しまくったらヒットした。昆虫の世界は難しい。

●平成2155日(火・祝) 天気:曇のち雨

高尾山域でホタルカズラを見られるのは南高尾といわれていたが、今年高尾本山のメインルートで花を咲かせた。ここ数年の間伐で林床に陽が多く当たるようになって、眠っていた種が目覚めたのだろう。しかし一週間後、2ヶ所あった自生地のひとつからは花が消えていた。国定公園内での動植物の採取は犯罪である、ということを観光客は認識してほしい。(あえてハイカーとは書かない。当然知っているマナーだから・・・)

●平成21512日(火) 天気:曇

板当林道を歩いていたら、長い触角を振るわせながら飛んでいる虫に出会った。加藤さんが良く分からない名前を言った。クロハネシロヒゲナガガ(黒羽白髭長蛾)。漢字にしてみると、その姿そのままの命名。(芸が無い?)この姿で蛾の仲間だそうだ。身体の大きさに比較して異常に長い触角。どのような理由で進化してきたのだろうか。

●平成21516日(土) 天気:曇

ジンガサハムシの仲間は透明の甲羅(?)に被われている。この日出会ったのは「イチモンジカメノコハムシ」。1pに満たない小さな虫だ。今まで何回か出会ったが、コンパクトデジカメではなかなか上手く撮れなかったが、今回はやっとピントが合った。これで甲虫だというのだから、昆虫の世界は不思議だ。

●平成21519日(火) 天気:曇

北高尾山稜の森の中に、私が「異形のビーナス」と勝手に名付けたケヤキの巨木がある。腰を振ったような幹。主幹は二つに分かれ、そのまま天に伸びている。どのような過程を経ると、このような姿になるのか。
ここにたどり着けるのは冬から早春の間だけ。足元の低木が葉を繁らせると行くのは困難だ。ただ冬枯れの中でなく、緑の森の中のビーナスを見たかった。この日、近くを巡視したので、強引に藪こぎをし、会いに行った。うん!その存在感と風格。やはりすごい。

●平成21519日(火) 天気:曇

ジャケツイバラが花盛り。しかしこの花は蔓で木に絡みつき上部で花を咲かせるため、なかなか花の構造が分からない。それがこの日、城山林道を歩いていたら、道一面にジャケツイバラの花が落花していた。マメ科の植物なのに花はマメ科の花とは似ても似つかない花だ。シキミのように、そのうちジャケツイバラ科などという「科」が出来るかも知れない。


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