「ウツギ」の髄は中空か

 ♪卯の花の匂う垣根に・・・・♪ご存知初夏の白い花、ウツギ(ウノハナ)は、髄が「中空」になることから「空木」と言う名が由来したといわれています。ところが、ウツギと名の付く植物は他にもたくさんあります。昨年の夏、御岳山に観察会の下見に行った際ノリウツギの花が咲いていました。「和紙を漉くときの糊料に使った。中空だからウツギ」と言ったところ、「髄は詰まっている。(中実)」と仲間から指摘を受けました。図鑑や本を当たって見ましたが、「中空」「中実」について全体的に説明したものは見当たらず、とことどころで混乱している記述もありました。そこで、山の作業などあちこちで出会った「ウツギ」を検証してみました。「ウツギ」と名がついていてもユキノシタ科のウツギ属以外は中空のものはありませんでした。(ただ、幼木と大きくなった段階で変化するのか、それはわかりません。)それでは、「なぜ空木なの?」と疑問もわきますが、花や葉など他に似ているいるところがあるのでしょうか?とりあえず8種類について実物をレポートしました。


ウツギ
(ユキノシタ科ウツギ属)
代表選手らしく穴は大きく一番はっきりとしている。
初夏に咲く純白の花を「匂う」と歌われているが、花が咲く様をそう表現したもので花に芳香はありません。
マルバウツギ
(ユキノシタ科ウツギ属)
ウツギ属なので中空ではあるが、茶色の毛のようなものが内側に多少ある。奥多摩・鳩ノ巣の皆伐跡地にたくさんあり、連休明けに白い上向きの花をたくさんつける。
ノリウツギ
(ユキノシタ科アジサイ属)
ユキノシタ科でも属が異なるとこんなにびっしり髄が詰まっている。アジサイの仲間なので、白色の白い両性花の周りを装飾花がとり巻く。輪切りの写真は実態顕微鏡で拡大したもの。
ハコネウツギ
(スイカズラ科タニウツギ属)
花が白色から紅色に変化し公園などでよく見かける。仲間も多いが、髄はしっかり詰まっている。
ハナツクバネウツギ
(スイカズラ科ツクバネウツギ属)
アベリアの別名もある園芸品種。初夏から秋まで次々に花を開くので公園や分離帯などに良く植えられる。髄はこの種類だけ変わっておりハシゴ状。成長に伴って変化するのかどうかは不明。
コゴメウツギ
(バラ科コゴメウツギ属)
バラ科の「ウツギ」。髄は薄い茶色でしっかり詰まっていた。それなら「ウツギ」の由来は、図鑑には「ウツギに似た白い小さな花を小米に見立てた。」とある。花が名前の由来。
ミツバウツギ
(ミツバウツギ科・属)
私が愛用している3分冊の図鑑には「葉が3小葉で、枝がウツギのように空洞なのでつけられた」と名前の由来にある。輪切りは直径1.5cmほど、人工林のボヤ刈りで伐ったもの、年輪がある。
フジウツギ
(フジウツギ科・属)
ちょっと見たところは、草のような低木。これこそなぜ「ウツギ」なのか。中実でしかも花は紅紫色、枝には翼状の4稜がある。これも奥多摩・鳩の巣の皆伐跡に雑草のように生えてくる。

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植物の和名は、日本人の植物感などが反映されているため、学名による分類とは必ずしも一致しません。「ウツギ」の場合、6科9属(11属に分類することもある)にもわたります。ユキノシタ科(ウツギ属、アジサイ属、バイカウツギ属)、スイカズラ科(タニウツギ属、ツクバネウツギ属)、バラ科コゴメウツギ属、ドクウツギ科・属、フジウツギ科・属、ミツバウツギ科・属です。このうち種類が多いのは、ウツギ属が5種類、タニウツギ属が10種類です。
【写真説明:右から2本ウツギ、次の2本マルバウツギ、次の白っぽい2本コゴメウツギ、次の2本ノリウツギ、髄がハシゴ状の1本ハナツクバネウツギ、次の2本ハコネウツギ、一番左側の大小2本ミツバウツギ)】