高尾山国有林巡視日誌(17)
 林野庁・東京神奈川森林管理署の森林保護員として、高尾山国有林とその周辺の森林パトロールを行っている宮入さんの巡視日誌「その17」です。

●平成20年3月12日(水) 天気:曇

 オニシバリは不思議な木だ。冬に葉を展開させ、夏には葉を落としてしまう。そのためナツボウズ(夏坊主)の別名もある。オニシバリ(鬼縛り)の名の由来は、鬼を縛っても切られないほど樹皮が丈夫だから名が付いたという。何だかおどろおどろしい。

 この日見つけたオニシバリの花は緑色。これも何だか不気味だ。花の形がジンチョウゲに似ていると思い、帰宅後に調べたらやはりジンチョウゲ科の植物だった。この仲間の木は樹皮の繊維が強く、ミツマタなど紙の材料にされるものが多い。

●平成20年3月16日(日) 天気:曇時々晴

 高尾山には一般ハイカーが歩く登山道だけでなく、国有林管理の為の巡視路が何本も通っている。前にも書いたが、林野庁の林班図には記されていても実際には消えている道も多い。そんなひとつの巡視路を、地図を頼りに歩いてみた。案の定3箇所ばかり道が崩れて無くなっていた。仕方なく岩場に張り付いて強行突破する。その岩にウチワゴケがあった。高尾山の図鑑には載っているが今まで見たことが無かった。こんな所にいたのか。ゆっくり観察したかったが、足場が悪すぎる。写真を数枚撮っただけで、早々に現場を離れた。

●平成20316日(日) 天気:曇時々晴

 今回の未知の巡視路走破も、パートナーの加藤さんの発案。彼は未知のルート発見に燃える森林保護員。私は昔のテレビ番組にちなみ、「行け行け加藤探検隊」と呼んでいる。隊長以下、唯一の隊員(?)の私は林班図を常にチェックし、現在位置の確認が任務だ。一般の尾根の登山道なら1時間のコースを2時間30分かけて歩いた。終点の最後の沢に古い木橋が掛かっていた。昔の営林署の現場職員が作ったものだろう。安全性が確保出来ないので渡る事はしなかったが、当時の国有林を守る人達の気概を感じた。

●平成20年3月20日(木・祝日) 天気:雨

 高尾山のメインルートのひとつ「稲荷山コース」は、通行するハイカーが多く、そのため木の根が地表に露出している。木にとっては生活する上で決して良い状態ではない。今日のような雨の日には、そこに水溜まりが出来る。雨水はゆっくりと地面に浸み込んで行く。山頂直下にも湧水がある水が豊かな高尾山。その水が多くの植物を育てている。この木の根の水溜まりも、そんな役割を果たしているのかも知れない。

●平成20年3月23日(日) 天気:晴

 森の中でエンレイソウの花を見つけた。高尾山域でエンレイソウの葉を見ることはあるのだが、花を見ることは珍しい。

 いつものお願いだが、森の中でこの花に出会っても決して採取せず見守って欲しい。野生の植物は、その場所にあってこそ価値があり、家の庭に持ち帰っても何の価値も無いのだから・・・。

●平成20年3月29日(土) 天気:晴のち曇

 以前、もみじ台下の「富士見台」から富士山を見ることは出来ない、と書いたが、「あそこから富士山を見ることが出来るよ」という情報をいただいた。

 この日は天気も良く、巡視コースも富士見台を通るので行ってみた。東屋のある場所からは見られないが、その下の小さな広場の先端に行けば、確かに富士山を見ることが出来た。前言撤回。ごめんなさい。


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