イヌビワ羽化のとき


イヌビワはイチジクと同じ仲間、この実のように見えるのが実は「花」です。内側に花をびっしりつけた独特の形を「花嚢」(かのう)といいます。雄株と雌株が別々です。この間を花粉を運ぶのが専属契約を結んだイヌビワコバチと言う蜂です。写真はすべて雄株ですが、雄株の花嚢はこの時期赤紫色に熟してその口が開いてきます。割ってみると黒い羽虫がうごめいています。これがイヌビワコバチの雌です。良く見ると茶色の雄バチもいます。羽は退化してなく、唯一の役割は雌バチたちとひたすら交尾を繰り返すこと。酒池肉林の世界ですが、雄バチの一生はそれで終り外に出ることはありません。花粉にまみれて外に飛び出した雌バチは、ひたすら新しい花嚢を捜します。この時飛び込んだ先が雄花か雌花かで天国か地獄かの運命が待ち受けています。雄花ならば産卵をし、その卵は一つづつ花の中で冬を越し来年の今頃羽化することが出来ます。ところが、雌花に飛び込むと雌しべが長くて産卵管が届かず産卵できないまま動き回り体についていた花粉をあちこちにこすり付けた挙句に命を落とすことになります。この犠牲の上に秋には美味しく熟し鳥や動物が食べて、種子をばら撒くことになります。イチジクの仲間はすべてこのような1対1の関係を結んだコバチがいるのだそうです。


雄株の花嚢が赤紫に色づいてくる

花嚢の上部にポッカリ穴が開いてくる

割ってみると黒い羽虫(雌バチ)がうごめいている

茶色いのが羽も退化した雄バチ、ひたすら交尾する

役目を終えた雄の花嚢が落ちていた

この雄の花嚢は冬も落ちず卵を守り越冬する

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