高尾山国有林巡視日誌(1)

 平成18年8月から林野庁、東京神奈川森林管理所の森林保護員として週2日程、高尾山国有林とその周辺の森林パトロールを行っています。業務内容は、ハイカーに対するマナー向上の指導と安全確保、動植物の調査、ゴミの不法投棄に対する監視、等です。メンバー4名の内、3名が「森林インストラクター東京会(FIT)」の会員です。定期的に高尾の森に入ると、豊かな自然と共に問題点も見えてきます。あまり難しくなく、美しい高尾の自然を中心に報告したいと思います。


●平成18年8月5日(土)天気:晴

 高尾山の巡視初日。6号路から高尾山頂を経て、一丁平に向かう。「もみじ台」から「小仏城山」にかけては桜並木が続いているが、老木のため太い枯れ枝が多く、通行には注意が必要だ。

 ハイカーに人気の休憩場所、「一丁平園地」のサクラも半分以上の枝が枯れている。いつ枝が落ちてくるか、とても心配な状態だ。

【写真:一丁平園地のサクラ】

【写真:キノコ菌に侵されたゴマダラカマキリ】

●平成18年9月6日()天気:雨

 雨の城山林道。クガビルが何匹も道路上に現れ、ミミズを食べる瞬間を目撃した。ミミズを捕らえ、飲み込む時間があまりに速いのに驚いた。
 【写真:クガビル】

【写真:目印テープの回収】

●平成18年8月8日(火)天気:雨のち曇

 高尾山頂直下の3号路の入口付近、カヤの若木が何本も根こそぎ掘られていた。盗掘か、と思い、高尾森林事務所に連絡したら「イノシシではないか」という回答だった。今年の高尾山は至る所イノシシの掘り跡だらけである。余程食糧が無いのだろうか。高尾山域でヤマユリとウバユリは絶滅状態になっている。しかし、何故カヤだけを掘っているのだろう。

※後日、FITの石井誠治さん、秋山久美子さんから同じ答えを戴いた。「カヤの根に付くキノコがあり、それをイノシシが掘りだして食べているのではないか」大ベテランの二人の共通意見なら、その通りだと思う。      【写真:倒されたカヤの若木】


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●平成18年8月15日(火)天気:雨のち曇

 高尾山では色々なイベントが行われ、そのためコース上の木々に目印テープを巻き付ける。イベント終了後、目印テープを回収するのが主催者の義務だと思うのだが、放置されることが多い。景観上美しくないので、イベント名が書かれていないテープは、すべて回収するようにしている。

※写真は、私のパートナーの加藤さん。オバサンとお喋りするのが大好きな、一見「チョイ悪オヤジ」だが、私と同じ恐妻家(愛妻家!)です。

●平成18年9月18日(月)天気:曇一時雨

 台風の影響が予想されるため予定を変更し、1号路を登る。基本的には天候の悪い中、歩くのは嫌だが、雨の森は様々な表情を見せてくれる。いつもはにぎやかな1号路のリフト駅の近くで野生の猿に会ったりもする。霧の中では木々が水墨画の世界を見せてくれた。

【写真:霧の木立】

●平成18年9月18日(月)天気:曇一時雨

 大平園地で、カラムシにキノコ菌に侵されたゴマダラカミキリが死んでいるのをを見つけた。分類的には バッカクキン(麦角菌)科、トルルビエラ属になるのだろうか。ちょっと違うが一般的には「冬虫夏草」といった方が分かりやすい。これらの菌は寄生主に侵入し、ある時点で瞬間的に寄生主を殺す、という。確かに徐々に弱っていけば、寄生主は地上に落ち、アリなどの食糧になってしまう。自然界のシステムには、すべて理由がある、と感心させられる。