木の日の研修
世界の森・日本の森
2017年6月1日(木) 林友ビル6階会議室

 前段として、銀座四丁目におけるミツバチプロジェクトのお話。蜜源は浜離宮のナノハナや秋のキバナコスモス、皇居周辺のユリノキ、日比谷公園の花壇で、50〜100kgとれるそうだ。主としてセイヨウミツバチで、何年か前から日本ミツバチもいる。

 次いで、ムクノキ、ケヤキ、エノキの葉が回覧され、エノキは葉が最もつるっとしているので、葉に塩分がつきにくく海に近いところに生えているそうだ。エンジェルトランペットの花も廻され、花のいい香りを確認。

 更にワインのいろいろなコルクが廻され、中でも改めて高級ワインのコルクを確認。10pほどもあるコルクガシのコルク層を外側からくりぬいたもので、断面に縦に皮目がある。安物は張りものや、合成したのものなど。ワインはアルコール分解菌が糖分を分解してアルコールを作るので酸素を通せるコルクが必要とのこと。コルク形成層の皮目を通して呼吸するのだ。イチョウの枝も廻されたが、極端に短枝が短い。街路樹は強剪定されるからとのこと。

 更にサクラを例に明るい茶色の点々の皮目や小豆色の皮を掘り下げる。皮目は空気を取り込むが、他の部分の皮は水をはじく。水は溶剤なので中のものを溶かし感染症の原因になるというのだ。根から入ってくる水は水分と16栄養素を選択的に取り込むので安全だ。葉っぱはすべての細胞が生きており、強力なバリアを持っているので問題ない。一年枝でも緑色の枝がある。まだ形成層ができていないので、草と同じ構造だ。肌が茶色になると形成層が造られ呼吸する皮目もできる。

 いよいよこの辺から本題に入ってきたようだ。サクラの枝が廻され、何年経っているかとの問いかけ。概ね皆が10年程度と回答。ところが判断のポイントが違っていたようだ。長枝にある芽鱗痕の数を数えるのが正解。

 マダガスカルで最も太くなる木は、バオバブ。最大のものは周囲27m27p、直径約9m。年輪ははっきり見えず、木は樹皮の皮の強度で立っている。幹内部はセルロースの水の袋でつながっており、半年雨が降らなくても、葉が少なくても、樹皮で光合成をして太くなる体だ。マダガスカルのバオバブの実が廻される。こぶし大の大きさで中に30個ほどの種が。実は甘いとのこと。現地の大事な食糧でもある。マダガスカルは乾燥地帯にあり鉱物資源はない。その位置は大昔大陸が一つだった時のゴンドウナ大陸の中心部、つまり臍の部分に当たる。そんなところに巨樹があるのが面白い。南アフリカとジンバブエの中間には周囲58mのバオバブがある。

 大昔の中生代、大陸が分裂しだすと活発な火山活動とともに二酸化炭素が増え、動物は絶滅して種が激減したが、乾燥に強い植物の誕生により巨木の森が大陸全体に広がったとのことだが、大変興味深い話だ。

 もっとも繁栄している針葉樹の森は、スカンジナビアから、ロシア、アラスカ、カナダの北部地帯。1000種ほどあるそうだが、マツ科が最も多い。そして、マツはどの地域でも食料の松の実として最も生活に溶け込んでいる。更に松脂、ロージン、灯りにと。マツは燃やすと1200度の高温になるので磁器が造れる。

 世界最長寿の木は、マツ・ブリッスルコーンパインで樹齢4970年。場所はアメリカのシアラネバ山脈の近くで手前にヨセミテ公園がある。石灰岩層で水持ちのいいところだ。年輪は1o以下だ。

 ニュージーランドには巨樹カウリ(ナンヨウスギ科)で森の神と森の母と呼ばれる2本の巨樹がある。ご神木なので残ったが、イギリスの植民地時代に森が破壊されたという。球果はモミのようにバラバラになる。

 続いて、タスマニアのナンキョクブナ、ユーカリの話。コアラが食べるユーカリの葉は熱帯育ちのものでないといけない。温帯で育つユーカリには毒がある。

 台湾で最大の木はベニヒノキで幹周25m。タイワンヒノキのように刺激臭がないので利用価値が低く残った。明治神宮のタイワンヒノキの鳥居は、今でもヒノキチオールの刺激臭がある。

 その他、縄文杉、将軍杉、千葉清澄寺の大スギ、箒杉、神代桜と続く。

 最後は江戸時代の桜の話に。徳川政権が命じた参勤交代のお蔭で、地方大名は競って地元の苗木を江戸に持ってきた。そのお蔭で江戸はサクラの園となり、300〜400種ものサクラの品種ができた。しかし明治になると残念ながらそれらのサクラは放置された。

 締めは、サツキとツツジの花期はなぜずれているのかという問いかけ。サツキは常緑樹で、ツツジは半常緑樹。サツキは常緑樹なので、糖分濃度を上げて芽が赤くなるのに時間を要するため1か月ほど花期が遅れるとか。この話には常緑樹は糖分濃度を上げた時に、まず芽吹きをする、花が先に咲かないという原則がないといけませんね。

 以上、話題が豊富で興味の尽きない研修会でした。石井さん、どうもありがとうございました。

参加人数:33名

 (報告:池田 正博)



講演模様


マダガスカルのバオバブとその実

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