多摩川の実物石ころ図鑑を作ろう
2017年5月21日(日) 羽村取水堰付近の多摩川の河原


 JR青梅線羽村駅前に集合・受付。野外研修は目的地の多摩川の河原までの途中の多摩川の遺構を見学するプチ巡検から始まりました。講師は昨年11月の木の日研修(「高尾山から考える日本列島の成り立ち」)で好評を博した杉内由佳先生。以下巡検。
@段丘崖の坂道と両側の石垣
・・過去7万年の気候変動に伴う海水面の低下による多摩川の急流化が浸食作用を強め段丘崖を形成。石垣は河原の玉石を利用。
A玉川上水羽村陣屋跡
・・上水を管理した役人の詰所
B羽村取水堰
・・上流からの流れを受ける形の堰構造と余分な水をスムーズに排水する第2水門。玉川上水の現代での利用状況。増水時の伝統的排水技術−投げ渡し堰(丸太・そだ・砂利利用)、牛枠(堤防の河畔林材と玉石籠の重りを用いた過去の治水技術)

巡検に続いて、河原におり羽村堰下橋下付近の河原で「川の石調べ」と「多摩川の」実物石ころ図鑑を作ろう」研修を実施。真夏のような強い日差しでしたが、上の橋の日影に助けられて快適に活動できました。
(1)小学3〜4年生対象の学習プログラム「河原の石調べ」(ワークシート)をもとに体験学習をおこない、人に教えるための、教え方の研修が行われました。
@色々な石を探そう・・色や形、肌合い、光り方等の違う石を見つける
A河原の石の仲間を分けてみる
  ・・形の異なる石を素早く集め、分けてみる (丸い、四角い、平ら等)
    色の異なる石を素早く集め、分けてみる (緑、黒、茶色、灰色等)

  ・大人は絶対的なものを求める傾向があり違いを見つけにくい。
  ・子供は自由な発想をし、様々な違いを見つける。絶対を教えるのではなく、
   子供たちの自由な発想を大切にし、学びの中から気付きを知らせることが大事。
  ・名前を先に教えるとそれに固執してしまい、他の自由な発想の支障となる。
   先に名前は教えない。
  ・色々な石があることに気付いてもらうことが大切。大福のような石、ごま塩の
   ような石で良い。正しい名は最終的に分かればよい。
  ・河原の石の仲間を分けることで、その河原の源流の山の石の種類や多寡の傾向が
   読み取れる。それも気付き。
   
B河原の石はどこから来たのか
C石はどのように(どこで)作られたのか 
D河原の石は何歳くらいか
という課題に対して、「海洋プレートの移動と付加体の岩石のでき方」の説明図で、海の中で出来た岩石・地層が押し上げられて陸地の山になり、山の岩が水の流れに削られて河原に流れてきたという小学生向けの説明がなされました。プレートテクトニクスは中学生以上でないと説明しないそうです。

  ・このような説明図で小学生にも平易に分かる。A3版ほどの大きさが分かりやすい。
  ・河原の石のつくられ方の理解を通して、今手にしている石ころも、地球で一つしかいな
   い、運命的な出会いの石として子供たちに大切に扱ってもらう。
  ・億年単位の時間スケールは小学生には理解できないので、恐竜のいた頃に出来たとか
   具体的に説明する。
  ・中高生大人でも理解しにくいので、年を円に換え比喩すると直感的に分かりやすい。

(2)「多摩川の実物石ころ図鑑」づくり
次に大人対象に多摩川の河原で見られる石(秩父層起源の砂岩、石灰岩、チャート、泥岩、粘板岩、緑色岩、ホルンフェルス、閃緑岩)の種類や特徴を講義していただき、石の特徴を頼りに各石を採取し、岩石名と番号を標本として整理し、「実物石ころ図鑑」を作りました。

  ・意味・価値のある標本としては、採取場所、採取日時、標本作成者名の明記が必須で
   ある。
  ・小学生の場合は、正式な岩石名でなく、愛称名で構わない。

以上各研修の中で、人に教えるための教え方や、ポイント解説などをたくさんご指導いただきました。

最後に、羽村駅の北側にある「まいまいず井戸」をプチ巡検。武蔵野台地を直掘りする困難を避けて、らせん状に開削した井戸の下に下る途中の礫層(古多摩川の扇状地の河原の石)を観察し、野外研修を終了しました。

帰り道の段丘崖の坂道で両側の石垣の石の種類を、ガラス質なのでチャート、ごま塩のような閃緑岩、白い粉の吹いたような石灰岩と、歩きながら確認する参加者が散見され、印象的でした。
「多摩川の実物石ころ図鑑をつくろう」研修を中心に、関連性を持った前後のプチ巡検も合せて、盛りだくさんですが、充実した楽しい野外研修でした。

講師  :杉内由佳(立正大学 非常勤講師(地形・地質))
幹事  :橋喜蔵
参加者 :20名

 (報告:杉山 顕一)



玉川上水羽村陣屋跡を見学



羽村取水堰第2水門と本流をせき止める投げ渡し堰


「河原の石調べ」の体験学習


河原の石の仲間を分けてみる


「多摩川の実物石ころ図鑑」の完成形



「まいまいず井戸」の途中の礫層を観察



戻る