色覚から見た森林の意味ー霊長類の視点
色覚のメカニズムと進化について
2017年3月2日(木) 林友ビル6階 会議室

 東京大学の柏の葉キャンパスから、色覚について第一人者の河村先生に来てもらい、動物たちの色覚はどうなっているのか、どのように見えているのか話をしていただきました。
 いくつか理解できたことですが、ひとつは「色」は光線にくっついているものではなく、物質についているものでもないということです。

 ではなぜいろんな色があるのかというと、太陽光線が飛んできて物に当たって反射してきた波長うの長短を眼球の一番奥の細胞がセンサーとして働いて、その反応が脳に伝えられて、最終的に脳が一瞬で色を判断しているということでした。
 眼球の一番奥にはさおの形の棹体細胞と錐体細胞があり、棹体細胞は高感度でどんな暗いところでも見え、光の粒子の光子1個でも反応する、弱い光に反応するセンサーだそうです。

 反対に錐体細胞は明るい色を捉えるセンサーで、人間の場合はL(赤)、M(緑)、S(青)に反応する3種類の錐体があり、この3種類のセンサーで入ってきた光の波長を分析して脳に伝える役割を果たしているそうです。伝わった光の波長を脳は識別して色として見ているというのが、色覚のメカニズムということだそうです。

 人間は赤・緑・青の3色型色覚の持ち主で、この3種類のオプシンで数百万の色を見分けることができるとも言われています。しかし、多くの哺乳類は2色型色覚で緑が無くて赤と青のオプシンだけだそうです。 犬は白黒の世界で生きているということを聞いたことがあるかと思いますが、2色型でみると青と黄の世界になっているのが正しいそうです。識別できる色の数も3色型よりぐっと落ちるそうです。人でも2色型のヒトがいて、それが「赤緑色盲」(色弱)といわれるタイプです昆虫はどうかというと、ミツバチなどは3色型ですが、人とはオプシンの並び方が微妙に違い3色が重ならずきれいに分かれて並んでいるので、識別できる色も人よりは色彩に溢れる世界に住んでいるかもしれないというそうです。

 さらに鳥類はもっと複雑で、人や昆虫のようなL、M、Sだけではなく、それに加えてVS(ベリーショート)、すなわち紫外線色のオプシンを持っている4色型だそうです。人が3次元の色彩の世界に生きているとすれば、鳥はなんと4次元の色の世界に生きているわけです。鳥は人や昆虫にはヒトが見ることができない色鮮やかな色彩の世界を満喫しているんでしょうか?

 地球の歴史の中で、色覚も環境や生存競争などの外的要因で変化(進化)してきたということです。すべてが水の中の生活だったころには錐体みんな同じ4色型、棹体は1色型だったのが、多くの生物が爆発的に誕生したカンブリア紀ごろから、暗い色の方向に発達進化するものや明るい方向に発達進化するものなど棲む世界によって、3色型が2色型になったり、再び3色型になるなど変化を遂げて現在に至っているという話です。2色型よりも3色型、4色型が有利というのではなく、おかれた環境によって変化してきていると理解しました。
 ダウィーンのいう「強いものが生き残ってきたわけではない。変化に対応できたものだけが生き残ってきた」ということばが色覚の世界でも当てはまっているということだと思います。

 河村先生は、新世界ザルとヒトの色覚多様性について研究を進めているようで、色覚よりも比較にならないほど嗅覚や味覚の研究は複雑だそうですが、色覚に嗅覚や味覚が加わった総合的な研究成果を期待した いものです

参加者 56名
講師 河村 正二氏 教授(東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻・人類進化システム分野 )

 (報告:山本 勇)


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