第8期 草木染塾2月講座 応用講座
2016年2月15日(月) 黒川青少年センター


今回のテーマ:「日本の伝統色:四十八茶百鼠」を染める
        (重ね染めによる色表現、乾燥染材・媒染剤の使い方を学ぶ)

 幕府が度々奢侈禁止令(しゃしきんしれい:いわゆる贅沢禁止令)を発令した江戸時代には、 庶民の衣服に許されたわずかな色彩は、「茶」や「鼠」などの地味な色合いのみでしたが、 染めの工夫で様々な色合いを生み出し、微妙な色合いの変化を楽しんだそうです。
 そして、それらの色には「樺茶」「芝翫茶」「利休茶」「煤竹茶」「銀鼠」「空五倍子」など粋な名前も付けられました。 実際に染めた布のサンプルを見せて頂きましたが、同じ茶やねずみ色でも黄味がかっていたり青味を帯びていたり、まさに多彩。 ブラウン、グレイの一言で済ませず、繊細な違いを見分け、楽しめた日本人の目や美意識。
 そんな日本人でよかったと思うと同時に、今後この感性を滅ぼすことがあってはいけない、とも思いました。

 この色の違いは、単一な染め方では出せません。 今回は、染材や媒染材、その重ね方の違いで様々な色合いを出すことを試みました。

・染材:柏の枝葉(乾燥)、楊梅(ヤマモモ)の枝葉(乾燥)、芒(ススキ)の茎(乾燥)、栗の小枝(乾燥)、西洋茜
・媒染剤:アルミ媒染(ミョウバン)、アルカリ媒染(木灰(ナラなどの灰))、鉄媒染(硫酸第一鉄)
・染める布:木綿のストール、シルクのストール

 今回染材として使用したのは、すっかり茶色くカラカラに乾燥した枝葉。 果たしてここに色素は残っているのか?? そんな心配をよそに、染材を煮出し、布を丁寧に漬け込んでいくことで、それぞれ異なる色に染まりました。
 枯れ落ちてもなお消えることのない、草木の生命のパワーに驚かされます。
 ミョウバンや木灰で媒染することで、更に鮮やかに。 染め液や媒染液に漬ける回数や時間でも色合いが変わってきます。 また、事前に布に濃染剤を染み込ませることで、発色の手助けをできることも今回学びました。
・赤味:アカネ>クリ>カシワ>ヤマモモ>ススキ
・黄味:ススキ>ヤマモモ>カシワ>クリ>アカネ

 染めたくないところをビニールやゴムで防染したり、糸でくくって絞りにした上で、 更に鉄媒染をかけたり、異なる染材で染めたり、重ね染めをしていきます。
 作品を並べてみると、同じ材料を使用していながら、それぞれ微妙に異なる色合いに仕上がりました。 鉄媒染をストレートにした時よりも、アルミ媒染やアルカリ媒染の上に重ねることで柔らかな色合いに、 茜も単一で染めるより、他と馴染みのいい色合いになりました。

 染材、媒染剤、染め手のセンスの組み合わせによって、単純な掛け算ではない、無限の可能性が広がると感じました。

講師(敬称略):四反田、奥村、中野
受講生:藤田(富)、廣川、矢吹、松田

  (報告:松田 貴子)



四十八茶百鼠のサンプル


カシワの乾燥葉


ヤマモモとカシワの色の違い


丁寧に染めていきます


一回目の染め上がり


重ねることで多彩な色合いに


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